字幕のない世界

イギリス留学を経て国際結婚した筆者が語る、英語と映画と海外の話。

「女と男の観覧車」Wonder Wheel

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おすすめ度 : ★★★★★★★☆☆☆7

 

こんにちは、ジェシカです。

ご訪問ありがとうございます✨

 

タイタニック」が流行った当時、私はケイト・ウィンスレットにもレオナルド・ディカプリオにも全く興味がありませんでした。

映画は良く出来ていて感動もしたけど、この2人が特別上手いとは正直思えなかったんですね。

それが今は、ケイト・ウィンスレット出演と聞くと、見なければ!と思うくらい私の中で大きな存在感を持つ女優さんになりました。

この「女と男の観覧車」(原題:Wonder Wheel)でもその演技力と存在感は圧倒的です❗

 

舞台は1950年代のコニーアイランド。遊園地で働く夫ハンプティ(ジム・ベルーシ)と妻のジニー(ケイト・ウィンスレット)は再婚同士。遊園地の敷地内に住み平凡な生活を送っています。そこにギャングの旦那から逃げてきたハンプティの娘、キャロライナ(ジュノー・テンプル)が転がりこんで来るところから物語が始まります。

ジニーは頭痛持ちでいつもイライラしていて、女優だった昔ばかりを振り返っている不安定な精神の持ち主。劇作家を目指すライフガードのミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)と恋に落ちますが、キャロライナに取られるのではないかと嫉妬にかられておかしくなっていきます。ケイトの迫真の演技が圧巻👏

監督はウディ・アレンですから、おきまりの舞台劇のような膨大な台詞が盛り込まれています。

皆よくしゃべる、掛け合いが長い、そして観客はその台詞マジックに引き込まれていくのです。

 

私が個人的に好きだったのは、お互いに惹かれ始めたミッキーとキャロライナが車の中で会話するシーン。今回はこのシーンからイディオムをご紹介します。

 

ギャングに追われている身であることを打ち明けたキャロライナとミッキーの会話。

 

Mickey : "I have book knowledge, but you really tasted life."

Carolina : "You've been around the world."

Mickey : "Yeah, but you've been around the block."

 

be around the blockで人生の経験を積んでいる、酸いも甘いも噛み分けてる、という意味。

過去から現在に至るまでの経験を語っているので、現在完了形が用いられます。

 

You've been around the block.

人生経験を積んでるんだね

 

これが直訳です。

これを踏まえて上記の会話を意訳すると、

 

ミッキー : 「僕は本の知識はあるけど、君は本物の人生を知ってる」

キャロライナ : 「あなたも世界を旅したでしょ」

ミッキー : 「君の経験の比じゃないよ」

 

といった感じになります。

 

最後はミッキーがキャロライナに

"You have a beautiful face, especially in this rain light."

「君の顔は雨の光に特別映えるね」

という口説き文句で会話が終了します。

キャロライナはこの口説き文句がとても気に入ったようで、後に「"rain light"って美しい表現でしょ、彼って詩人なの💕」と言っていますが、私もrain lightって素敵な表現だなぁと心に残りました。

日中の雨の中、車を止めてお互いを見つめながら静かに会話している時のキャロライナは実際美しかったです。白く発光したrain lightが本当に良い演出をしてました。

 

この映画は全体を通して色彩が豊かです☆

遊園地の光でジニーの寝室が燃えるようなオレンジに照らされていたかと思えば急に青みがかったり、海辺の月明かりが顔を明るく照らしたかと思えば暗くなったり、ポスター写真からも見て取れるように、ワンシーンの中に多彩な色が使われているのが印象的でした🎨

 

ジニーとその周りは難ありの人達ばかりで、トラブルメイカーと思われたキャロライナが結局一番まともだったのではないかという感想が残ります😁

ラストはちょっと消化不良かも。。。